あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
聖女が力を失ったとしても、クロヴィスとの婚約がすぐに解消されたわけではない。彼女は健気に王城に来ては、今までと変わらぬ様子で時間を過ごす。
クロヴィスとの関係はもともと溝があったのに、その溝が修復されることもなかった。それなのにクロヴィスは、まだ婚約解消の件を聖女に伝えていないようだ。
そんなとき、聖女がもう一人現れたという話が飛び込んできた。
彼女の名は、コリーン・エイムズ。
エイムズ子爵令嬢であり十九歳。王城内で侍女として務めており、あの聖女とは学院時代に親しくしていたようだ。だから、たまに王城内で聖女とお茶をする姿が見られた。
デイヴィスはすぐにコリーンに近づいた。王城務めの侍女であるなら、接触はしやすい。
「クロヴィスと婚約しろ。そうすれば神殿ではなくこちらにおいてやる」
デイヴィスの言葉に、コリーンは不安気に目を瞬いた。
まだ愚息クロヴィスの婚約者の座には、力を失った聖女が居座っている。
「ですが、クロヴィス殿下はまだ婚約されているのでは……」
まっとうな者であれば、そう考えるのが妥当だろう。となれば、コリーンもわりかしまともな人間である。
「聖女褒賞金。あれはこちら側が支払っているものだ。お前が神殿に入ろうが入らないだろうが、それはしっかりと支払ってやる」
今度はゆっくりと瞬きをした。
「ウリヤナ・カールを知っているな?」
コリーンは小さく頷く。
「ウリヤナを見てみろ。神殿で力を高めるどころか、力を奪われた。その力を守りたければ、ここにいたほうがいいのではないのか?」
クロヴィスとの関係はもともと溝があったのに、その溝が修復されることもなかった。それなのにクロヴィスは、まだ婚約解消の件を聖女に伝えていないようだ。
そんなとき、聖女がもう一人現れたという話が飛び込んできた。
彼女の名は、コリーン・エイムズ。
エイムズ子爵令嬢であり十九歳。王城内で侍女として務めており、あの聖女とは学院時代に親しくしていたようだ。だから、たまに王城内で聖女とお茶をする姿が見られた。
デイヴィスはすぐにコリーンに近づいた。王城務めの侍女であるなら、接触はしやすい。
「クロヴィスと婚約しろ。そうすれば神殿ではなくこちらにおいてやる」
デイヴィスの言葉に、コリーンは不安気に目を瞬いた。
まだ愚息クロヴィスの婚約者の座には、力を失った聖女が居座っている。
「ですが、クロヴィス殿下はまだ婚約されているのでは……」
まっとうな者であれば、そう考えるのが妥当だろう。となれば、コリーンもわりかしまともな人間である。
「聖女褒賞金。あれはこちら側が支払っているものだ。お前が神殿に入ろうが入らないだろうが、それはしっかりと支払ってやる」
今度はゆっくりと瞬きをした。
「ウリヤナ・カールを知っているな?」
コリーンは小さく頷く。
「ウリヤナを見てみろ。神殿で力を高めるどころか、力を奪われた。その力を守りたければ、ここにいたほうがいいのではないのか?」