あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
彼女はこんこんと眠り続けた。目を覚ましたのは、次の日の朝。見た目よりも怪我の程度が軽かったのもよかったのだろう。
湯浴みをし、朝食もしっかりと食べ終えた頃には、頬に赤みも戻ってきていた。
ロイが荷造りをしている間に、レナートは彼女と話をしたようだ。
その結果を、淡々とロイに伝えてくるわけだが。
『レナート様……。あなたはいったい何をおっしゃったのですか?』
『だから、彼女の子の父親になりたいと……。何か、間違えたか?』
真面目にこう問うてくるのだから、ロイも唸るしかない。
『つまり、レナート様はウリヤナ様のことを好きになったと?』
『好き……? いや、彼女はあの状態で行く当てがないそうだ。だったら、俺のところに来てもらえばいいかなと思っただけだ』
この男は、真面目にそう思っているのだろうか。
『まぁ、ウリヤナ様がイングラムの元聖女ですから、レナート様のお相手として、これほど相応しい方はいらっしゃらないでしょう』
ロイの言葉に安心したのか、レナートは目尻をやわらげた。この表情を見て、ロイにもピンとくるところはあった。だけど、それを口にするとややこしくなるので、まずは少しずつレナートの気持ちを確かめがほうがいいだろう。
『それで、なぜ彼女の子の父親になろうと思ったのですか?』
『俺には子が望めないだろう? そして彼女の子には父親がいない。利害が一致した』
気を抜いていたら、盛大にすっ転んだ。だが、レナートとはこういう男であることをわかっていたはず。
『その理屈はわかりました』
理屈と言ったが、頭に『へ』をつけてやろうかと思ったくらいでもある。
湯浴みをし、朝食もしっかりと食べ終えた頃には、頬に赤みも戻ってきていた。
ロイが荷造りをしている間に、レナートは彼女と話をしたようだ。
その結果を、淡々とロイに伝えてくるわけだが。
『レナート様……。あなたはいったい何をおっしゃったのですか?』
『だから、彼女の子の父親になりたいと……。何か、間違えたか?』
真面目にこう問うてくるのだから、ロイも唸るしかない。
『つまり、レナート様はウリヤナ様のことを好きになったと?』
『好き……? いや、彼女はあの状態で行く当てがないそうだ。だったら、俺のところに来てもらえばいいかなと思っただけだ』
この男は、真面目にそう思っているのだろうか。
『まぁ、ウリヤナ様がイングラムの元聖女ですから、レナート様のお相手として、これほど相応しい方はいらっしゃらないでしょう』
ロイの言葉に安心したのか、レナートは目尻をやわらげた。この表情を見て、ロイにもピンとくるところはあった。だけど、それを口にするとややこしくなるので、まずは少しずつレナートの気持ちを確かめがほうがいいだろう。
『それで、なぜ彼女の子の父親になろうと思ったのですか?』
『俺には子が望めないだろう? そして彼女の子には父親がいない。利害が一致した』
気を抜いていたら、盛大にすっ転んだ。だが、レナートとはこういう男であることをわかっていたはず。
『その理屈はわかりました』
理屈と言ったが、頭に『へ』をつけてやろうかと思ったくらいでもある。