あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
だけど、両親は王都にある別邸を売り払い、カール子爵領に戻ってきていると、レナートから聞いた。彼はどこからか、イングラム国の情報を仕入れてくる。
「本当は、俺も挨拶にいかなければならないんだよな」
「そうね。あなたにも会ってもらいたい。きっと両親も喜んでくれるわ」
だけど今、それどころではない。なぜならば、イングラム国内には不穏な空気が流れているからだ。カール子爵が領地に戻ってきたのもそれが原因であった。
レナートはウリヤナの頭を軽くなでると立ち上がる。そんな彼の動きを、つい目で追ってしまう。
「どうかしたのか?」
「なんでもない」
ウリヤナはかぶりを振った。ここに来てから、彼を好ましいと思っている。
テルキの街で宿が炎に包まれたとき、マシューが心の中で助けを呼んでくれたおかげで、レナートと出会うことができた。ウリヤナが持っていた魔石のせいではないかと、レナートは言っていた。
となれば、レナートと出会ったのは神官たちのおかげでもある。
ローレムバ国に入国する際に、ウリヤナとレナートが夫婦であったほうが手続きは楽ということもあり、二人はソクーレの町で婚姻の届を出した。レナートからの提案であったが、お腹の子の父親が彼であり、母親がウリヤナというのであれば、夫婦という形であったほうがいいのかもしれない。ウリヤナは自然とそれを受け入れていた。
「本当は、俺も挨拶にいかなければならないんだよな」
「そうね。あなたにも会ってもらいたい。きっと両親も喜んでくれるわ」
だけど今、それどころではない。なぜならば、イングラム国内には不穏な空気が流れているからだ。カール子爵が領地に戻ってきたのもそれが原因であった。
レナートはウリヤナの頭を軽くなでると立ち上がる。そんな彼の動きを、つい目で追ってしまう。
「どうかしたのか?」
「なんでもない」
ウリヤナはかぶりを振った。ここに来てから、彼を好ましいと思っている。
テルキの街で宿が炎に包まれたとき、マシューが心の中で助けを呼んでくれたおかげで、レナートと出会うことができた。ウリヤナが持っていた魔石のせいではないかと、レナートは言っていた。
となれば、レナートと出会ったのは神官たちのおかげでもある。
ローレムバ国に入国する際に、ウリヤナとレナートが夫婦であったほうが手続きは楽ということもあり、二人はソクーレの町で婚姻の届を出した。レナートからの提案であったが、お腹の子の父親が彼であり、母親がウリヤナというのであれば、夫婦という形であったほうがいいのかもしれない。ウリヤナは自然とそれを受け入れていた。