あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
イングラム国は少なくとも胎児に魔力を注ぐような行為はしないようだ。魔力を注ぐ行為については、ウリヤナもレナートの話を聞いて、驚いたくらいである。
「つまりだ。イングラムでは血の繋がりが重要であると、そう解釈してみた」
レナートも兄王の考えがなんとなく読めてきた。
「それよりも。頼んでいたあの件はどうなったんだ?」
レナートもこれから生まれてくる我が子を、政略の駒にしたいわけではない。兄王の言いたいことも狙いもなんとなくわかるが、今はまだそれには触れたくない。
だから話題を変えた。
「ウリヤナの実家。カール子爵家の件だろう? 『暗』を使った」
『暗』とは、王の直下で動かせる者たち。表には立たず、裏でひっそりと任務をこなす。時と場合によっては、人の命を奪うこともある。それはもちろん、王族に害をなすと判断された者たちであるが。とにかく、汚い仕事を一手に受ける者たちでもある。
レナートはウリヤナからカール子爵家の現状を聞いていた。特に、彼女の弟であるイーモンについては、疑問に思うところが多々あった。
ウリヤナはレナートの家族となったのだ。となれば、ウリヤナの家族もレナートの家族だろう。だからイーモンの件が引っかかっていた。
「まず、カール子爵家が傾いた原因だが。ウリヤナの弟、イーモンが資産に手を付けたのが原因らしいな」
それはレナートもウリヤナから聞いた。なぜ、当時十三歳という年齢で、家の資産に手をつけようと考えたのかがまったくわからない。誰かの入れ知恵にしても、その年代でそこまで考えるだろうか。
「つまりだ。イングラムでは血の繋がりが重要であると、そう解釈してみた」
レナートも兄王の考えがなんとなく読めてきた。
「それよりも。頼んでいたあの件はどうなったんだ?」
レナートもこれから生まれてくる我が子を、政略の駒にしたいわけではない。兄王の言いたいことも狙いもなんとなくわかるが、今はまだそれには触れたくない。
だから話題を変えた。
「ウリヤナの実家。カール子爵家の件だろう? 『暗』を使った」
『暗』とは、王の直下で動かせる者たち。表には立たず、裏でひっそりと任務をこなす。時と場合によっては、人の命を奪うこともある。それはもちろん、王族に害をなすと判断された者たちであるが。とにかく、汚い仕事を一手に受ける者たちでもある。
レナートはウリヤナからカール子爵家の現状を聞いていた。特に、彼女の弟であるイーモンについては、疑問に思うところが多々あった。
ウリヤナはレナートの家族となったのだ。となれば、ウリヤナの家族もレナートの家族だろう。だからイーモンの件が引っかかっていた。
「まず、カール子爵家が傾いた原因だが。ウリヤナの弟、イーモンが資産に手を付けたのが原因らしいな」
それはレナートもウリヤナから聞いた。なぜ、当時十三歳という年齢で、家の資産に手をつけようと考えたのかがまったくわからない。誰かの入れ知恵にしても、その年代でそこまで考えるだろうか。