あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「まず、イーモンに投資話を吹っ掛けたのは、学院の友人らしい。幾人かの友人が集まって、そのようなことを口にしていたようだ。そこに名前が出てきたのがアルフィー・ハウル」
「誰だ、それは」
「王太子クロヴィスの腰巾着の名だ。まぁ、側近とでも言うのか? クロヴィスとアルフィーは幼い頃から仲良くしていたそうだ。まるで兄弟のようにな」
そこでランベルトがレナートを見やったのは「まるで私たちのように」とでも言いたいからだろう。だけどレナートはもちろんそれを無視する。
「つまり、王太子に近しい者の名が出たから、イーモンはそれを信用したと?」
「おそらく。そして、それがきっかけだ」
「なんの?」
「魅了。もはや、洗脳とも呼べるのか?」
魅了も洗脳も魔術師の領域である。
「つまり、だ。ウリヤナの弟イーモンが、アルフィーを信用したことで洗脳が発動した」
レナートの後方で、ロイがぴくりと反応した。彼も何か思うところがあるにちがいない。
「だが、洗脳は魔術師でないと使えない。そこまで魔力のある魔術師があの国にいるとは思えない」
「そうだな。イングラムの魔術師には無理だろうな。だが、ローレムバならどうだ?」
ランベルトの言葉にレナートは目を線にする。
「お前。その鬱陶しい前髪を切れ! 見にくいからそうやって目を細めるんだろ? 目つきが悪くなる。お兄ちゃん、お前のその目つき、嫌いよ。もっとこう、穏やかに」
「俺の前髪も目つきも生まれつきだ。今更どうのこうの言われても遅いわ。それよりも話を逸らすな」
ランベルトは少しだけ温くなったお茶で喉を潤した。
「誰だ、それは」
「王太子クロヴィスの腰巾着の名だ。まぁ、側近とでも言うのか? クロヴィスとアルフィーは幼い頃から仲良くしていたそうだ。まるで兄弟のようにな」
そこでランベルトがレナートを見やったのは「まるで私たちのように」とでも言いたいからだろう。だけどレナートはもちろんそれを無視する。
「つまり、王太子に近しい者の名が出たから、イーモンはそれを信用したと?」
「おそらく。そして、それがきっかけだ」
「なんの?」
「魅了。もはや、洗脳とも呼べるのか?」
魅了も洗脳も魔術師の領域である。
「つまり、だ。ウリヤナの弟イーモンが、アルフィーを信用したことで洗脳が発動した」
レナートの後方で、ロイがぴくりと反応した。彼も何か思うところがあるにちがいない。
「だが、洗脳は魔術師でないと使えない。そこまで魔力のある魔術師があの国にいるとは思えない」
「そうだな。イングラムの魔術師には無理だろうな。だが、ローレムバならどうだ?」
ランベルトの言葉にレナートは目を線にする。
「お前。その鬱陶しい前髪を切れ! 見にくいからそうやって目を細めるんだろ? 目つきが悪くなる。お兄ちゃん、お前のその目つき、嫌いよ。もっとこう、穏やかに」
「俺の前髪も目つきも生まれつきだ。今更どうのこうの言われても遅いわ。それよりも話を逸らすな」
ランベルトは少しだけ温くなったお茶で喉を潤した。