あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「お前はせっかちだな。少しくらい兄弟の会話を楽しんでくれてもいいのに」
「突然、話題を切り替えられると、こっちの頭がついていかないんだ。いいから、続きを話せ」
「はいはい。で、なんだっけ? あ、洗脳魔法の件か。そう、だからローレムバの魔術師が動いた」
「ちょっと待て。なんでローレムバの魔術師がウリヤナの弟に洗脳をかける必要がある? カール子爵家なんて、イングラムにおいてさほど力のある家柄でもないのだろう? ローレムバが狙う理由がわからん。まして、ウリヤナが聖女となる前の話だ」
「ローレムバの魔術師が頼まれたとしたら?」
「誰に?」
「それが重要だな」
そこまで言ったランベルトは、今度はお菓子に手を伸ばす。まるでレナートを焦らして楽しんでいるかのように見える。いや、実際、楽しんでいる。
「おお、ロイ。このクッキーはおいしいな。どこの店のものだ? 土産に買って帰ろうかな」
「陛下。聞いて驚かないでください。それはウリヤナ様がお作りになられたものです」
ゴホッとむせたのはレナートだった。
「ほうほう、ウリヤナが。お前のウリヤナはなんでもできるんだな」
「俺は、聞いてない……」
「ええっ?! レナート様だって、いつも食べているじゃないですか。無意識に全部」
「突然、話題を切り替えられると、こっちの頭がついていかないんだ。いいから、続きを話せ」
「はいはい。で、なんだっけ? あ、洗脳魔法の件か。そう、だからローレムバの魔術師が動いた」
「ちょっと待て。なんでローレムバの魔術師がウリヤナの弟に洗脳をかける必要がある? カール子爵家なんて、イングラムにおいてさほど力のある家柄でもないのだろう? ローレムバが狙う理由がわからん。まして、ウリヤナが聖女となる前の話だ」
「ローレムバの魔術師が頼まれたとしたら?」
「誰に?」
「それが重要だな」
そこまで言ったランベルトは、今度はお菓子に手を伸ばす。まるでレナートを焦らして楽しんでいるかのように見える。いや、実際、楽しんでいる。
「おお、ロイ。このクッキーはおいしいな。どこの店のものだ? 土産に買って帰ろうかな」
「陛下。聞いて驚かないでください。それはウリヤナ様がお作りになられたものです」
ゴホッとむせたのはレナートだった。
「ほうほう、ウリヤナが。お前のウリヤナはなんでもできるんだな」
「俺は、聞いてない……」
「ええっ?! レナート様だって、いつも食べているじゃないですか。無意識に全部」