あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
まだ内乱が起こっていないだけマシな状態といえよう。それでも、聖女を囲っている王族に対して、反抗的な意見も聞こえてくる。
そして数ある嘆願書すら無視されている状況。
少しでも現状を打破しようと、王城からも人を出してはいるが、それが実情に追いついていない。こちらが良くてもあちらには手が届かない、そういった状態が続き、国内のいたるところで不平不満が出始めている。
「あぁ。こんなときではあるが、ローレムバからの招待だ。断るわけにはいかない」
「どうして?」
「相手がローレムバだからだ」
それでもコリーンは不思議そうに首を傾げる。
「招待状といっても、堅苦しい会議の招待状ではない。お披露目会、つまりパーティーの招待状だ」
パーティーと聞いたウリヤナの瞳が、ぱっと輝き出す。
イングラム国内では、目立った夜会などは開かれていない。今はそれどころではないからだ。
「なんのお披露目会なの?」
こうやって聞いてくるのはよい傾向である。少なくともコリーンは興味を持っている。
「ザフロス辺境伯……まぁ、ローレムバ国王の弟だが。彼が結婚したとのことで、それのお披露目会らしい」
「そう……結婚……」
「私とコリーンは婚約しているし、コリーンは聖女だ。だから、二人一緒にと招待を受けた」
嘘ではないとでも言うかのように、コリーンに招待状を見せる。
そこには確かにクロヴィスの名と『聖女』の記載がある。
「共に行ってくれるよな?」
「……無理よ」
絞り出すような声。
「無理。行けない。断って」
「コリーン……」
そして数ある嘆願書すら無視されている状況。
少しでも現状を打破しようと、王城からも人を出してはいるが、それが実情に追いついていない。こちらが良くてもあちらには手が届かない、そういった状態が続き、国内のいたるところで不平不満が出始めている。
「あぁ。こんなときではあるが、ローレムバからの招待だ。断るわけにはいかない」
「どうして?」
「相手がローレムバだからだ」
それでもコリーンは不思議そうに首を傾げる。
「招待状といっても、堅苦しい会議の招待状ではない。お披露目会、つまりパーティーの招待状だ」
パーティーと聞いたウリヤナの瞳が、ぱっと輝き出す。
イングラム国内では、目立った夜会などは開かれていない。今はそれどころではないからだ。
「なんのお披露目会なの?」
こうやって聞いてくるのはよい傾向である。少なくともコリーンは興味を持っている。
「ザフロス辺境伯……まぁ、ローレムバ国王の弟だが。彼が結婚したとのことで、それのお披露目会らしい」
「そう……結婚……」
「私とコリーンは婚約しているし、コリーンは聖女だ。だから、二人一緒にと招待を受けた」
嘘ではないとでも言うかのように、コリーンに招待状を見せる。
そこには確かにクロヴィスの名と『聖女』の記載がある。
「共に行ってくれるよな?」
「……無理よ」
絞り出すような声。
「無理。行けない。断って」
「コリーン……」