あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「どうやら、彼は怪我をしてこちらまで来ることができないそうだ」
「怪我……?」
「ああ。今、イングラムの情勢はよくないだろう? 暴漢に襲われたらしい」
クロヴィスに送った招待状だけ、開催時期を一か月早く連絡してあった。招待したのは、イングラム国の王太子と聖女のみ。あそこの国王とは、レナートがイングラム国の王城に足を運んだあのとき以来、連絡を取り合っていない。疎遠になっているというよりは、もはやローレムバ国から見たら敵である。
「だけど、コリーンがいるわ。あの子も聖なる力、癒しの力があるはず」
「残念ながら、二人で出掛けようとしていたところを襲われたようだ」
「え? もしかしてコリーンも怪我をしたの?」
そう言って碧眼をはかなげに揺らす彼女は、心からコリーンを心配しているように見えた。
「ああ、そのようだ。二人とも怪我が酷くて、まともな生活を送れるかどうかも、わからないらしい」
「そう……」
ウリヤナは手を伸ばして、赤ん坊の頭を撫でる。
「心配、か?」
「そうね……イングラムの人たちは、心配でしょうね。ただでさえ、不安定な生活を強いられているのに。王太子と聖女がそのようなことになるだなんて……」
「だから、ローレムバが手を貸すことにした。今、国王と話をしてきた」
ぱぁっとウリヤナの顔が輝いた。
「そう、なの?」
「怪我……?」
「ああ。今、イングラムの情勢はよくないだろう? 暴漢に襲われたらしい」
クロヴィスに送った招待状だけ、開催時期を一か月早く連絡してあった。招待したのは、イングラム国の王太子と聖女のみ。あそこの国王とは、レナートがイングラム国の王城に足を運んだあのとき以来、連絡を取り合っていない。疎遠になっているというよりは、もはやローレムバ国から見たら敵である。
「だけど、コリーンがいるわ。あの子も聖なる力、癒しの力があるはず」
「残念ながら、二人で出掛けようとしていたところを襲われたようだ」
「え? もしかしてコリーンも怪我をしたの?」
そう言って碧眼をはかなげに揺らす彼女は、心からコリーンを心配しているように見えた。
「ああ、そのようだ。二人とも怪我が酷くて、まともな生活を送れるかどうかも、わからないらしい」
「そう……」
ウリヤナは手を伸ばして、赤ん坊の頭を撫でる。
「心配、か?」
「そうね……イングラムの人たちは、心配でしょうね。ただでさえ、不安定な生活を強いられているのに。王太子と聖女がそのようなことになるだなんて……」
「だから、ローレムバが手を貸すことにした。今、国王と話をしてきた」
ぱぁっとウリヤナの顔が輝いた。
「そう、なの?」