あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「ああ。イングラムをこのままの状態にしておくのはまずいだろう? 人々の生活もあるしな」
だから、ウリヤナ。と、彼は言葉を続ける。
「俺と共に、イングラムに行ってくれないか?」
ウリヤナはぱちぱちと目を瞬いた。
「あなたが、行くの?」
「俺が行く。俺が、イングラムを救う」
「どうして?」
彼は糸のように目を細くする。
「お前が生まれ育った国だからだ。それにこの子はイングラムの王族の血を引いている。お前の力も戻ってきているのだろう?」
「気づいていたの?」
レナートはすぐに気がついた。ウリヤナが出産を終えしばらくしたころ、彼女から微小ながら魔力を感じた。それから次第にその魔力は強くなり、また魔力とは異なる力も感じるようになった。
「ああ。お前の力はこの子を守っていたのだろうな。だから力を失ったかのように見えた」
それがレナートの考えだった。彼女の力は子を守るために、彼女の内側で使われていた。だから、外側で聖なる力を使うことができなかったのではないだろうか。
そのため、他からは力を失ったように見えたのだ。
彼女は困ったようにきょろきょろと視線を泳がせてから、レナートの腕の中にいる赤ん坊を抱き上げた。
それは彼女の照れ隠しの行為であることを、彼は知っている。
だから、ウリヤナ。と、彼は言葉を続ける。
「俺と共に、イングラムに行ってくれないか?」
ウリヤナはぱちぱちと目を瞬いた。
「あなたが、行くの?」
「俺が行く。俺が、イングラムを救う」
「どうして?」
彼は糸のように目を細くする。
「お前が生まれ育った国だからだ。それにこの子はイングラムの王族の血を引いている。お前の力も戻ってきているのだろう?」
「気づいていたの?」
レナートはすぐに気がついた。ウリヤナが出産を終えしばらくしたころ、彼女から微小ながら魔力を感じた。それから次第にその魔力は強くなり、また魔力とは異なる力も感じるようになった。
「ああ。お前の力はこの子を守っていたのだろうな。だから力を失ったかのように見えた」
それがレナートの考えだった。彼女の力は子を守るために、彼女の内側で使われていた。だから、外側で聖なる力を使うことができなかったのではないだろうか。
そのため、他からは力を失ったように見えたのだ。
彼女は困ったようにきょろきょろと視線を泳がせてから、レナートの腕の中にいる赤ん坊を抱き上げた。
それは彼女の照れ隠しの行為であることを、彼は知っている。