あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「あら、大変」
「どうした?」
「おむつがパンパン……あなたの服まで、濡れているわ」
「先ほどから冷たいと思っていたのだが……」
「もう。そういうことは早く言いなさいよ」
 ウリヤナに促されレナートは立ち上がった。
「ついでに風呂にでも入ってくる。その子はどうする?」
「そうね。飲んだばかりだけれども、準備している間に落ち着くかしら?」
 話の話題にあがっている息子は、目を閉じながらもぐもぐと口を動かしている。
「ロイを呼ぼう」
 すぐさまロイがやって来た。
「レナート様。とうとうおもらしですか? そんな育児と介護をウリヤナ様にやらせるようなことになるなんて……」
「最近のお前。調子にのりすぎていないか?」
「やだなぁ。冗談ですよ。すぐに浴室の準備をしてまいります」
 最近、レナートに冗談を言う者が多くなったような気がするし、その頻度も多くなったような気もする。それもこれもウリヤナと可愛い息子に原因がある。
 そしてそんなやり取りを見ているウリヤナは、楽しそうに笑うのだ。
「おい」
「あ、ごめんなさい。あなたたちが相変わらずで」
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