あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「あなたの気持ちに気づかなかった私にも非があります……」
クロヴィスはずっとウリヤナを好いていた。
あの日――彼女が学院に入学してきたときから、彼女に惹かれた。彼女が欲しいと思った。
彼女だけが、クロヴィスをクロヴィスとして見てくれたのだ。王子という肩書にとらわれず、クロヴィスを一人の人間として接してくれた。
そのことを、彼女は覚えてくれているだろうか。
「クロヴィス様は、ずっとカール子爵家を憎いと思っていたのですね」
違う。そうじゃない。
「ローレムバの魔術師と組んで、イーモンに洗脳魔法をかけた。そうやってカール子爵家の財産を根こそぎ奪って、カール子爵家を失脚させるつもりだったのですよね?」
違う――。
「カール子爵家は歴史ある家柄ではありません。元は商人あがり。ですからクロヴィス様にとって、いえ由緒正しい王族側から見たら、カール子爵家はイングラム国の汚点だと、そう思っていたのですよね? イングラムは血の繋がりを大事にし、伝統を重んじる国ですから」
違う。違う。
声が出ない。首を横に振ると、目尻から涙が流れる。
「クロヴィス様は、少しでも私を想ってくださいましたか?」
ずっと好きだった。ずっとこの腕の中にいてほしかった。
「私は、クロヴィス様との婚約が決まったとき、あなたに相応しい女性になりたいと、そう思っておりました。ですが、クロヴィス様の気持ちは他の女性に向かわれておりましたよね?」
クロヴィスはずっとウリヤナを好いていた。
あの日――彼女が学院に入学してきたときから、彼女に惹かれた。彼女が欲しいと思った。
彼女だけが、クロヴィスをクロヴィスとして見てくれたのだ。王子という肩書にとらわれず、クロヴィスを一人の人間として接してくれた。
そのことを、彼女は覚えてくれているだろうか。
「クロヴィス様は、ずっとカール子爵家を憎いと思っていたのですね」
違う。そうじゃない。
「ローレムバの魔術師と組んで、イーモンに洗脳魔法をかけた。そうやってカール子爵家の財産を根こそぎ奪って、カール子爵家を失脚させるつもりだったのですよね?」
違う――。
「カール子爵家は歴史ある家柄ではありません。元は商人あがり。ですからクロヴィス様にとって、いえ由緒正しい王族側から見たら、カール子爵家はイングラム国の汚点だと、そう思っていたのですよね? イングラムは血の繋がりを大事にし、伝統を重んじる国ですから」
違う。違う。
声が出ない。首を横に振ると、目尻から涙が流れる。
「クロヴィス様は、少しでも私を想ってくださいましたか?」
ずっと好きだった。ずっとこの腕の中にいてほしかった。
「私は、クロヴィス様との婚約が決まったとき、あなたに相応しい女性になりたいと、そう思っておりました。ですが、クロヴィス様の気持ちは他の女性に向かわれておりましたよね?」