あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
違う。それはウリヤナに嫉妬してほしくて、アルフィーの助言に従っただけなのに。
「クロヴィス様と共に過ごした時間。無駄であったとは思っておりません」
彼女の唇はきれいに弧を描く。
「クロヴィス様。ゆっくりと療養ください。このイングラム国は、私の夫、レナートが統治しますので」
夫――。
「クロヴィス殿。俺はあなたに感謝する」
溢れる涙は制御ができない。
「俺にこのような素晴らしい妻と子を授けてくれた」
先ほどから彼女の腕の中には、赤ん坊がいる。この男とよく似た黒い髪の赤ん坊。
「あぶっ……」
小さな手がクロヴィスのほうに伸びてきた。
つぶらな金色の瞳と目が合った。
金色の瞳は、イングラムの王族の証、だからこの子は――。
「あなたの子ですよ、クロヴィス様。ですが今は、私とレナートの子です。私たちにこの子を授けてくださって、ありがとうございます」
赤ん坊は彼女の腕から男の腕へとうつる。こうやって赤ん坊を見ると、あの男とよく似ている。だが、あの瞳は間違いない。あの赤ん坊はイングラム国の王族の血を引く。
「クロヴィス様。声が出ないのは辛いでしょう? 少しだけ治癒いたします。これは、私たちからの御礼です。ですが、あなたの世話をする方に暴言を吐いてはなりません」
「クロヴィス様と共に過ごした時間。無駄であったとは思っておりません」
彼女の唇はきれいに弧を描く。
「クロヴィス様。ゆっくりと療養ください。このイングラム国は、私の夫、レナートが統治しますので」
夫――。
「クロヴィス殿。俺はあなたに感謝する」
溢れる涙は制御ができない。
「俺にこのような素晴らしい妻と子を授けてくれた」
先ほどから彼女の腕の中には、赤ん坊がいる。この男とよく似た黒い髪の赤ん坊。
「あぶっ……」
小さな手がクロヴィスのほうに伸びてきた。
つぶらな金色の瞳と目が合った。
金色の瞳は、イングラムの王族の証、だからこの子は――。
「あなたの子ですよ、クロヴィス様。ですが今は、私とレナートの子です。私たちにこの子を授けてくださって、ありがとうございます」
赤ん坊は彼女の腕から男の腕へとうつる。こうやって赤ん坊を見ると、あの男とよく似ている。だが、あの瞳は間違いない。あの赤ん坊はイングラム国の王族の血を引く。
「クロヴィス様。声が出ないのは辛いでしょう? 少しだけ治癒いたします。これは、私たちからの御礼です。ですが、あなたの世話をする方に暴言を吐いてはなりません」