あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 先ほどからも何度も寝返りを打っているのは、目をしっかりと閉じているはずなのに、移動中のやりとりを思い出してしまうからだ。
 そのたびに身体の向きを変えていると、すっかりと目が冴えてしまった。身体は疲れているが、頭ははっきりとしていて眠くない。
 ため息をついてぼんやりと天井を見つめる。硬い寝台、薄い寝具。屋敷や神殿と暮らしていた時とは違う環境。だが、これからはそれに慣れなければならない。
 重くならない瞼を無理矢理閉じて、なんとか夢の世界へ向かおうとしたとき、大きな音が聞こえてきた。
 ――ドォオオンッ!!
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