あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
真っ白いドレスに身をつつむウリヤナは、恥ずかしそうにはにかみながらカール子爵と踊っていて、そんな娘を見守る子爵の眼差しが羨ましいと思っただけ。周囲から心ない言葉がたくさん聞こえているはずなのに、幸せそうに見える彼女たちの姿が、胸に刺さっただけ。
ウリヤナが神殿に入ると聞いたのは、それから十日後だった。
意味がわからずカール子爵家を訪れると、ウリヤナは先日の魔力鑑定で聖なる力が認められたとのことだった。
『聖なる力? 聖女? ウリヤナが? すごいじゃない。私も友達として鼻が高いわ』
コリーンがそう口にすれば、ウリヤナも悲しそうに微笑んだ。
『私が聖女だなんて……信じられない……』
――信じられないのであれば、その力を分けてほしい。
どす黒い感情が、胸の奥にポツっと生まれる。
――優しそうな家族もいて、他の誰にもない能力を持ち合わせて。
生まれた黒い感情は、次第に波紋のように広がっていく。
――あぁ、ウリヤナが羨ましい。
波紋がすべてを満たした瞬間、コリーンの中に何かが生まれた。
なぜそれが自分ではないのだろう。同じような地味な令嬢だと思っていたのに、なぜ彼女が聖女に選ばれたのか。
ウリヤナと自分は、いったい何が違うというのか。
そんな妬みがコリーンの中にふつふつと沸き起こる。
ウリヤナが神殿に入ると聞いたのは、それから十日後だった。
意味がわからずカール子爵家を訪れると、ウリヤナは先日の魔力鑑定で聖なる力が認められたとのことだった。
『聖なる力? 聖女? ウリヤナが? すごいじゃない。私も友達として鼻が高いわ』
コリーンがそう口にすれば、ウリヤナも悲しそうに微笑んだ。
『私が聖女だなんて……信じられない……』
――信じられないのであれば、その力を分けてほしい。
どす黒い感情が、胸の奥にポツっと生まれる。
――優しそうな家族もいて、他の誰にもない能力を持ち合わせて。
生まれた黒い感情は、次第に波紋のように広がっていく。
――あぁ、ウリヤナが羨ましい。
波紋がすべてを満たした瞬間、コリーンの中に何かが生まれた。
なぜそれが自分ではないのだろう。同じような地味な令嬢だと思っていたのに、なぜ彼女が聖女に選ばれたのか。
ウリヤナと自分は、いったい何が違うというのか。
そんな妬みがコリーンの中にふつふつと沸き起こる。