あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
そこでレナートはウリヤナの涙を拭い、彼女に軽く口づける。
彼女にも、やっと笑みが戻った。
「ウリヤナ……。赤ん坊を産んだばかりで悪いが。三か月後にはこの子のお披露目が待っている。できるだけ、準備は俺のほうですすめるが……ただ、そのつもりでいて欲しい」
「ええ。あなたの立場を考えれば、仕方のないことよね」
彼女は口元をゆるめた。
「すまない」
「どうして謝るの?」
「俺の都合に巻き込んでいる」
ウリヤナは首を横に振る。
「私も、私の都合にあなたを巻き込んだ」
だが、それすらレナートが望んだことでもある。
「私たち、夫婦になったのよね?……」
その言葉は、どこか不安そうにも聞こえた。
「あ、ああ。そうだな……」
「だから、私があなたの都合に合わせるのは、当たり前よ。夫婦だし、家族なのだから……」
ウリヤナは隣で眠る我が子を、慈愛に満ちた瞳でじっと見つめている。
「この子を産もうと決心できたのも、あなたのおかげ。ありがとう、レナート」
「礼を言うなら、俺のほうだ。こんなに可愛い子を授けてくれてありがとう。俺は……子を望めないと思っていたからな」
レナートはどこか苦しそうに言葉を吐いた。
子を望めない――それは、レナートを詳しく知る人物であれば、周知の事実でもある。だから、こうやってレナートの魔力を受け継ぐ子が誕生したのは、喜ばしいこと。
彼女にも、やっと笑みが戻った。
「ウリヤナ……。赤ん坊を産んだばかりで悪いが。三か月後にはこの子のお披露目が待っている。できるだけ、準備は俺のほうですすめるが……ただ、そのつもりでいて欲しい」
「ええ。あなたの立場を考えれば、仕方のないことよね」
彼女は口元をゆるめた。
「すまない」
「どうして謝るの?」
「俺の都合に巻き込んでいる」
ウリヤナは首を横に振る。
「私も、私の都合にあなたを巻き込んだ」
だが、それすらレナートが望んだことでもある。
「私たち、夫婦になったのよね?……」
その言葉は、どこか不安そうにも聞こえた。
「あ、ああ。そうだな……」
「だから、私があなたの都合に合わせるのは、当たり前よ。夫婦だし、家族なのだから……」
ウリヤナは隣で眠る我が子を、慈愛に満ちた瞳でじっと見つめている。
「この子を産もうと決心できたのも、あなたのおかげ。ありがとう、レナート」
「礼を言うなら、俺のほうだ。こんなに可愛い子を授けてくれてありがとう。俺は……子を望めないと思っていたからな」
レナートはどこか苦しそうに言葉を吐いた。
子を望めない――それは、レナートを詳しく知る人物であれば、周知の事実でもある。だから、こうやってレナートの魔力を受け継ぐ子が誕生したのは、喜ばしいこと。