あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
ウリヤナという女性からは魔力がいっさい感じられなかった。それでも彼女が魔法を使ったと言う。
母親の言葉には矛盾があるが、当の本人はそれにすら気づいていないのだろう。他人の魔力の有無、優劣を感じ取れるのも、魔術師と呼ばれるほどの魔力を持ち合わせていないとできない。
それにウリヤナからは、もう一つ別の力を感じる。
そのとき、はっきりとした口調の大きな声が響いた。いつの間にか複数の男性がやってきていたのだ。
「おい、君たち。宿にいた者たちか?」
身に着けている物から察するに、彼らは騎士団の人間である。
レナートはウリヤナを抱き上げた。彼女をこのままここに置いておくわけにはいかない。
「ソクーレに行くと言っていたな」
男の子に声をかけると、彼は大きく頷く。
「ついてこい。今日、泊まる場所くらいなら提供してやる」
「おかあさん……」
男の子は女性の袖口を引っ張る。
「遠慮するな。それに彼女の手当てもしたい。お前たちの命の恩人なのではないのか?」
「おかあさん……」
くいくいっと男の子が引っ張ると、母親も観念したかのように立ち上がった。足元にあった荷物を両手に抱え込む。
「こいつらは俺の連れだ。悪いがつれていく」
レナートが側にいた騎士に声をかけると、相手も怪訝そうに眉間に皺を寄せる。
「俺の名は、レナート・ザフロス。そこの宿に泊まっている。何かあれば、そこにこい」
「いや、だが……」
「ここの宿にいた者は、全員無事だ。多少の怪我はあるがな。それよりも、この爆発を起こした犯人を捕まえるほうが先ではないのか?」
母親の言葉には矛盾があるが、当の本人はそれにすら気づいていないのだろう。他人の魔力の有無、優劣を感じ取れるのも、魔術師と呼ばれるほどの魔力を持ち合わせていないとできない。
それにウリヤナからは、もう一つ別の力を感じる。
そのとき、はっきりとした口調の大きな声が響いた。いつの間にか複数の男性がやってきていたのだ。
「おい、君たち。宿にいた者たちか?」
身に着けている物から察するに、彼らは騎士団の人間である。
レナートはウリヤナを抱き上げた。彼女をこのままここに置いておくわけにはいかない。
「ソクーレに行くと言っていたな」
男の子に声をかけると、彼は大きく頷く。
「ついてこい。今日、泊まる場所くらいなら提供してやる」
「おかあさん……」
男の子は女性の袖口を引っ張る。
「遠慮するな。それに彼女の手当てもしたい。お前たちの命の恩人なのではないのか?」
「おかあさん……」
くいくいっと男の子が引っ張ると、母親も観念したかのように立ち上がった。足元にあった荷物を両手に抱え込む。
「こいつらは俺の連れだ。悪いがつれていく」
レナートが側にいた騎士に声をかけると、相手も怪訝そうに眉間に皺を寄せる。
「俺の名は、レナート・ザフロス。そこの宿に泊まっている。何かあれば、そこにこい」
「いや、だが……」
「ここの宿にいた者は、全員無事だ。多少の怪我はあるがな。それよりも、この爆発を起こした犯人を捕まえるほうが先ではないのか?」