あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
気づけば、目の前にレナートの顔があった。鋭い目つきは変わらないが、その奥には優しい光が灯っている。ウリヤナが倒れないようにと、ぎゅっと抱きしめていた。
「立ったままでは危ないな。こちらに運ぼう」
「きゃっ……」
不意に抱き上げられ、自分のものとは思えない声を発してしまった。
ぽすんとソファの上におろされる。
「もしかして、俺。まずいことを言ったか?」
そう言った彼は、口元を手で押さえながら、困ったようにウリヤナを見下ろしていた。
「あ。いえ……その、知らなかったので……子どもを授かったことを……。レナート様は魔術師なのですか?」
こうやって側にいるだけで、ウリヤナの体内の魔力を感じ取ったのだ。それなりの使い手なのだろう。
「ああ、そうだ。俺はローレムバの人間だからな」
ローレムバには魔術師が多いと聞く。
「父親はいないのか?」
そう尋ねた彼の声は、どことなく寂しそうにも聞こえる。
「修道院に行こうとしていたくらいなのだろう? それとも、お前自身からまったく感じられない力が原因か?」
賢すぎる男は、面倒くさいかもしれない。
「もしかして俺は……お前を傷つけるようなことを口にしたか?」
「え?」
「立ったままでは危ないな。こちらに運ぼう」
「きゃっ……」
不意に抱き上げられ、自分のものとは思えない声を発してしまった。
ぽすんとソファの上におろされる。
「もしかして、俺。まずいことを言ったか?」
そう言った彼は、口元を手で押さえながら、困ったようにウリヤナを見下ろしていた。
「あ。いえ……その、知らなかったので……子どもを授かったことを……。レナート様は魔術師なのですか?」
こうやって側にいるだけで、ウリヤナの体内の魔力を感じ取ったのだ。それなりの使い手なのだろう。
「ああ、そうだ。俺はローレムバの人間だからな」
ローレムバには魔術師が多いと聞く。
「父親はいないのか?」
そう尋ねた彼の声は、どことなく寂しそうにも聞こえる。
「修道院に行こうとしていたくらいなのだろう? それとも、お前自身からまったく感じられない力が原因か?」
賢すぎる男は、面倒くさいかもしれない。
「もしかして俺は……お前を傷つけるようなことを口にしたか?」
「え?」