あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
ただでさえ彼女が知らなかった妊娠の事実を突きつけ、挙句、その子の父親になりたいと言ってしまったのだ。
まして、出会ったばかりの人間だ。そのような人物から言われたら、不審がられてもおかしくはない。
だが、今の機会を逃すと、ウリヤナが無理をしそうに見えた。するりとここから抜け出して、どこかに消えそうな気がした。
「俺は今、ローレムバに帰るところだ。ソクーレには寄るから、そこまでは一緒に行くか? マシューたちにもそう言ってある」
「……はい」
その声は少しだけ震えていた。
「何も今すぐ返事がほしいわけじゃない。それでも、ソクーレに着くまでには答えを出してもらえると助かる」
「……はい」
「……悪かったな」
彼女を悩ませるようなことを言ってしまった。それに対する謝罪のつもりだった。
焦ってしまった自覚はある。レナート自身も、この機会を逃したら、永遠に同じような状況に恵まれることはないだろうと思っていた。
だからといって、誰でもいいわけではない。彼女だからこそ側にいたかったし、彼女の子だからこそ、守ってあげたかった。
「では俺は、荷造りをする。お前はどうする? と言っても、荷物はないのか……」
ウリヤナたちが泊った簡易宿は、爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。あれだけの爆発だ。荷物が無事なわけがない。
「それから、調査している騎士団には連絡しておく。まだ事件のあらましが終わっていないだろうが、こちらは被害者だからな。行き先だけ告げておけば、問題ないはずだ」
何かあったら連絡が来る。例え、国境を越えたとしても、事件は事件であり、必要であれば協力を惜しまないつもりだった。だが、ウリヤナたちが出せる情報などたかが知れている。犯人も捕まっているようだし、騎士団が調べているのは、犯人の証言が事実かどうかだろう。
まして、出会ったばかりの人間だ。そのような人物から言われたら、不審がられてもおかしくはない。
だが、今の機会を逃すと、ウリヤナが無理をしそうに見えた。するりとここから抜け出して、どこかに消えそうな気がした。
「俺は今、ローレムバに帰るところだ。ソクーレには寄るから、そこまでは一緒に行くか? マシューたちにもそう言ってある」
「……はい」
その声は少しだけ震えていた。
「何も今すぐ返事がほしいわけじゃない。それでも、ソクーレに着くまでには答えを出してもらえると助かる」
「……はい」
「……悪かったな」
彼女を悩ませるようなことを言ってしまった。それに対する謝罪のつもりだった。
焦ってしまった自覚はある。レナート自身も、この機会を逃したら、永遠に同じような状況に恵まれることはないだろうと思っていた。
だからといって、誰でもいいわけではない。彼女だからこそ側にいたかったし、彼女の子だからこそ、守ってあげたかった。
「では俺は、荷造りをする。お前はどうする? と言っても、荷物はないのか……」
ウリヤナたちが泊った簡易宿は、爆発に巻き込まれて吹っ飛んだ。あれだけの爆発だ。荷物が無事なわけがない。
「それから、調査している騎士団には連絡しておく。まだ事件のあらましが終わっていないだろうが、こちらは被害者だからな。行き先だけ告げておけば、問題ないはずだ」
何かあったら連絡が来る。例え、国境を越えたとしても、事件は事件であり、必要であれば協力を惜しまないつもりだった。だが、ウリヤナたちが出せる情報などたかが知れている。犯人も捕まっているようだし、騎士団が調べているのは、犯人の証言が事実かどうかだろう。