あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
 レナートが立ち上がろうとすると、手首を掴まれた。
「レナート様……」
 ウリヤナの目は、不安そうに揺れている。
「……ありがとうございます」
 その言葉を聞けたことに、レナートの気が軽くなった。
「気にするな」
 レナートは、ぽふっとウリヤナの頭を撫でた。
「準備が整うまで、お前はここで休んでいろ。必要なものがあれば、ロイを呼べばいい」
 彼女はもう一度「ありがとうございます」と言って、頭を下げた。
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