あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
「ウリヤナ、体調はどうだ? ずっと移動ばかりで疲れただろう?」
ソクーレの宿では二間続きの部屋をとった。ウリヤナの気配が感じる部屋にいないと、夜中に彼女が逃げ出すのではないかと考えてしまったからだ。だからといって、同じ部屋では彼女に警戒心を与えてしまうかもしれない。そう考えた結果である。
ロイには「意外と束縛するタイプなんですね」と言われたが、そうではない。純粋に彼女と彼女の子が心配なだけ。
「あ、ありがとうございます」
ソファにゆったりと身体を預けている彼女に、あたたかなお茶が入ったカップを手渡す。
テーブルを挟んで、レナートはその向かい側に座った。
「何から何まで、すみません」
「気にするな。それで……」
そこでレナートは一息呑んだ。
「お前の答えは決まったか?」
明日、ローレムバ入りするため、あの答えは今のうちに欲しかった。だけど、聞くのが怖いのもあった。なぜ、怖いのだろう。
彼女はカップを両手で包み込む。カップ越しに、お茶の温もりを感じているかのよう。
「……はい」
その返事が、カップから立ち昇る湯気の軌道を変えた。
「どうぞ、よろしくお願いします。お世話になります」
レナートは呼吸をするのを忘れてしまった。糸のように細い目を、めいっぱい広げる。
心臓が痛いくらいに、力強く動いている。これほど歓喜に満ちるとは思っていなかった。その感情を表に出さないようにと、気持ちを落ち着ける。
「……あの、レナート様? 大丈夫でしょうか?」
「あ、あぁ。大丈夫だ」
ソクーレの宿では二間続きの部屋をとった。ウリヤナの気配が感じる部屋にいないと、夜中に彼女が逃げ出すのではないかと考えてしまったからだ。だからといって、同じ部屋では彼女に警戒心を与えてしまうかもしれない。そう考えた結果である。
ロイには「意外と束縛するタイプなんですね」と言われたが、そうではない。純粋に彼女と彼女の子が心配なだけ。
「あ、ありがとうございます」
ソファにゆったりと身体を預けている彼女に、あたたかなお茶が入ったカップを手渡す。
テーブルを挟んで、レナートはその向かい側に座った。
「何から何まで、すみません」
「気にするな。それで……」
そこでレナートは一息呑んだ。
「お前の答えは決まったか?」
明日、ローレムバ入りするため、あの答えは今のうちに欲しかった。だけど、聞くのが怖いのもあった。なぜ、怖いのだろう。
彼女はカップを両手で包み込む。カップ越しに、お茶の温もりを感じているかのよう。
「……はい」
その返事が、カップから立ち昇る湯気の軌道を変えた。
「どうぞ、よろしくお願いします。お世話になります」
レナートは呼吸をするのを忘れてしまった。糸のように細い目を、めいっぱい広げる。
心臓が痛いくらいに、力強く動いている。これほど歓喜に満ちるとは思っていなかった。その感情を表に出さないようにと、気持ちを落ち着ける。
「……あの、レナート様? 大丈夫でしょうか?」
「あ、あぁ。大丈夫だ」