あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
ウリヤナは笑みを浮かべて、カップを口元に運んだ。その一連の動作に魅入ってしまう。
「それで、早速で悪いのだが」
そこでレナートは、ゴクリと喉を上下させる。柄にもなく緊張している。
「俺と結婚してほしい」
「……ケホッ」
驚いたのか、お茶を飲んでいた彼女は咽た。
「す、すまない。大丈夫か?」
慌てて立ち上がったレナートは、ウリヤナの隣に座ってその背をさする。
「……あっ。はい。大丈夫です。少し、驚いてしまって」
レナートとしては、彼女を驚かすような言葉を口にしたつもりはない。
「レナート様」
そこでロイが割って入った。今までどこにいたのかと思うくらい、気配を感じなかったのに、今はテーブルの隣に立っている。
「レナート様の説明では、ウリヤナ様にいろいろとご負担をかけるようですので。勝手ながら私のほうから説明させていただきます」
「た、頼む」
ロイの言うとおりである。レナートとしては、間違えた言葉を言ったつもりはないのだが、説明が下手くそなのか、ウリヤナが驚いてばかりなのだ。
だが、彼女のお腹の子は喜んでいた。いや、この状況を楽しんでいるのかもしれない。なかなか肝の据わった子である。
「これから、関所を越えてローレムバ国へと入国します。ウリヤナ様が関所を越える際に、レナート様と婚姻関係があったほうが、手続きが簡素化されます」
「簡素化されないと、どうなるのでしょうか?」
「ウリヤナ様はイングラム国の人間ですので、その身分を明らかする必要があります。なぜローレムバ国に行くのか、滞在先はどこかなど、事細かに調べられます」
「それで、早速で悪いのだが」
そこでレナートは、ゴクリと喉を上下させる。柄にもなく緊張している。
「俺と結婚してほしい」
「……ケホッ」
驚いたのか、お茶を飲んでいた彼女は咽た。
「す、すまない。大丈夫か?」
慌てて立ち上がったレナートは、ウリヤナの隣に座ってその背をさする。
「……あっ。はい。大丈夫です。少し、驚いてしまって」
レナートとしては、彼女を驚かすような言葉を口にしたつもりはない。
「レナート様」
そこでロイが割って入った。今までどこにいたのかと思うくらい、気配を感じなかったのに、今はテーブルの隣に立っている。
「レナート様の説明では、ウリヤナ様にいろいろとご負担をかけるようですので。勝手ながら私のほうから説明させていただきます」
「た、頼む」
ロイの言うとおりである。レナートとしては、間違えた言葉を言ったつもりはないのだが、説明が下手くそなのか、ウリヤナが驚いてばかりなのだ。
だが、彼女のお腹の子は喜んでいた。いや、この状況を楽しんでいるのかもしれない。なかなか肝の据わった子である。
「これから、関所を越えてローレムバ国へと入国します。ウリヤナ様が関所を越える際に、レナート様と婚姻関係があったほうが、手続きが簡素化されます」
「簡素化されないと、どうなるのでしょうか?」
「ウリヤナ様はイングラム国の人間ですので、その身分を明らかする必要があります。なぜローレムバ国に行くのか、滞在先はどこかなど、事細かに調べられます」