あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
あのときのコリーンとのやりとりを思い出しても、ウリヤナが素直に言うことをきくとは思えない。なんやかんや言い訳をして、クロヴィスの側にいようとはしないだろう。
「どうだろうな。だが、カール子爵の名を出せば、戻ってきてくれるのではないか? ウリヤナは、私よりも家族を大事にしていた女性だったからな……」
クロヴィスは、ふん、と鼻から息を吐いた。
彼女に嫉妬してほしくて、他の女性を侍らせていた時期もある。だが、それを見たウリヤナから出てきた言葉は『婚約を解消しましょう』だった。
彼女にとって、クロヴィスは嫉妬する対象にすらならなかった。
家族を想い、民の幸せを願い、国の平穏を求めている彼女にとって、クロヴィスはただの婚約者。
そこに愛は存在しない。聖女としての任務を全うするだけ。
彼女の宝石のような碧眼からは、そんな意思が感じられた。
だから、彼女を抱いた。肌を重ねれば、自分を受け入れてくれるのではないか。そんな微かな期待があったからだ。
彼女に受け入れてほしかった。愛してほしいとは言わない。だけど、理解してもらいたかった。
彼女は抵抗しなかった。戸惑いを見せながらも、クロヴィスを受け入れた。
だけど熱を分け合った結果、彼女は力を失った。いや、それが直接の原因かどうかはわからない。
いつの間にか、彼女の力は失われていたのだ。
むしろ、クロヴィスが聖女の純潔を奪ってしまったことを他の者に知られてはならないのだ。いくら婚約していても、結婚もしていない二人であり、まして王太子と聖女である。
だから誰も知らないはず。
「どうだろうな。だが、カール子爵の名を出せば、戻ってきてくれるのではないか? ウリヤナは、私よりも家族を大事にしていた女性だったからな……」
クロヴィスは、ふん、と鼻から息を吐いた。
彼女に嫉妬してほしくて、他の女性を侍らせていた時期もある。だが、それを見たウリヤナから出てきた言葉は『婚約を解消しましょう』だった。
彼女にとって、クロヴィスは嫉妬する対象にすらならなかった。
家族を想い、民の幸せを願い、国の平穏を求めている彼女にとって、クロヴィスはただの婚約者。
そこに愛は存在しない。聖女としての任務を全うするだけ。
彼女の宝石のような碧眼からは、そんな意思が感じられた。
だから、彼女を抱いた。肌を重ねれば、自分を受け入れてくれるのではないか。そんな微かな期待があったからだ。
彼女に受け入れてほしかった。愛してほしいとは言わない。だけど、理解してもらいたかった。
彼女は抵抗しなかった。戸惑いを見せながらも、クロヴィスを受け入れた。
だけど熱を分け合った結果、彼女は力を失った。いや、それが直接の原因かどうかはわからない。
いつの間にか、彼女の力は失われていたのだ。
むしろ、クロヴィスが聖女の純潔を奪ってしまったことを他の者に知られてはならないのだ。いくら婚約していても、結婚もしていない二人であり、まして王太子と聖女である。
だから誰も知らないはず。