あなたの子ですよ~王太子に捨てられた聖女は、彼の子を産んだ~
――いっそのこと、この婚約が解消されればいいのに。
アルフィーはそう思っていた。なんでも欲しいと思ってそれを難なく手にしていた彼が、一番欲しいと願っている女性を失う。
それを想像しただけでも、心の中がスカッとした。
だが、この婚約解消を願っていたのは、アルフィーだけではなかった。
それは当事者でもあるウリヤナである。
彼女は、クロヴィスに婚約の解消を申し出たらしい。しかし、彼女を側に置きたいクロヴィスと、聖女の力を王族に取り込みたい国王が、それを認めるわけがない。
クロヴィスとウリヤナの溝は、よりもっと深くなる。
そしてとうとう、ウリヤナは聖なる力を失い、クロヴィスの婚約者という立場から解放された。
突如として力を失ったウリヤナであるが、誰も原因がわからないと言う。
そんなクロヴィスが次に手に入れたのは、コリーンであった。ウリヤナと仲の良かった女性。そして、聖なる力に目覚めた聖女。
クロヴィスはコリーンを愛しているわけではない。彼の想いは、ウリヤナに向けられている。
それでも婚約を解消せざるを得なかったのは、ウリヤナが聖女ではなくなったからだ。
――ざまぁみろ
アルフィーは心の中で呟いた。もちろん、それを態度に出すようなことはしない。
「アルフィー。ウリヤナを探せるか?」
クロヴィスの手の中には、ローレムバ国から届いた書簡がある。
イングラム国の現状は、けしていい状態とは言えない。飢餓が広がってきているのだ。そうなると、次は暴動が起こる。今はなんとか騎士団がそれらを押さえているが、人々の不安と不満は日に日に高まっている。
アルフィーはそう思っていた。なんでも欲しいと思ってそれを難なく手にしていた彼が、一番欲しいと願っている女性を失う。
それを想像しただけでも、心の中がスカッとした。
だが、この婚約解消を願っていたのは、アルフィーだけではなかった。
それは当事者でもあるウリヤナである。
彼女は、クロヴィスに婚約の解消を申し出たらしい。しかし、彼女を側に置きたいクロヴィスと、聖女の力を王族に取り込みたい国王が、それを認めるわけがない。
クロヴィスとウリヤナの溝は、よりもっと深くなる。
そしてとうとう、ウリヤナは聖なる力を失い、クロヴィスの婚約者という立場から解放された。
突如として力を失ったウリヤナであるが、誰も原因がわからないと言う。
そんなクロヴィスが次に手に入れたのは、コリーンであった。ウリヤナと仲の良かった女性。そして、聖なる力に目覚めた聖女。
クロヴィスはコリーンを愛しているわけではない。彼の想いは、ウリヤナに向けられている。
それでも婚約を解消せざるを得なかったのは、ウリヤナが聖女ではなくなったからだ。
――ざまぁみろ
アルフィーは心の中で呟いた。もちろん、それを態度に出すようなことはしない。
「アルフィー。ウリヤナを探せるか?」
クロヴィスの手の中には、ローレムバ国から届いた書簡がある。
イングラム国の現状は、けしていい状態とは言えない。飢餓が広がってきているのだ。そうなると、次は暴動が起こる。今はなんとか騎士団がそれらを押さえているが、人々の不安と不満は日に日に高まっている。