溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
そして、2人きりに
[そして、2人きりに]


『お嬢様、今までお世話になりました。どうぞお元気で』


夕方、使用人のみんなが我が家から去っていってしまった。


突然のことでショックだったけど、いずれこんな日がくる予感はずっと前からあった。


歴史ある由緒正しき名家……とは名ばかりの我が家の現在の家計は火の車。


お父様の経営する会社は世界数カ国でホテル業を営んでいたんだけど、業績が芳しくなくて、すでに半分以上のホテルを手放してしまっていた。


その上、運の悪いことが続いてしまっている。


我が家の財産を管理していた秘書に大金を持ち逃げされる事件もあってますますお金に困るようになっていた。


人を雇う余裕なんて無くなり、とうとうこんなことになるなんて。


私、如月若葉{きさらぎ わかば)はそんな如月家の一人娘で高校1年15歳。
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