溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
彼女が出て行ったことを確認すると、深いため息を吐いて寝転がる。


少々手荒だったけどこれでもう二度と俺の部屋にはこないだろう。


しかし本当にこれでよかったのか、そもそもこんな場合の正解なんてあるのか。


「ああっ」


ついさっきのことを思い出して頭を抱える。


とんだ失態だ。


彼女にキスをしてしまった。


そっと手で触れるとまだ唇に感触が残っているような気がした。


執事失格じゃないだろうか、俺は。


あまりにもやり方がまずすぎて猛省した。


他にもっとやりようがあったろう、たぶん。


今度こんなことがあった時はもっとうまくやらないと。


いや、今度なんてあってはならない。


だけど、そう考えるそばから彼女の恥ずかしそうにする可愛い姿が浮かんできて、気持ちが高揚する。


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