溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
晶ちゃんは、注意されてもあまり気にしてない様子。


「大きな声で話す内容じゃありません。せめてもう少し声を落としてください」


「はーい」


晶ちゃんはしぶしぶ返事をして、また私のほうに顔を向ける。


「ねえねえ、その夜這いの話、もっと詳しく聞かせて」


ひそひそ声で尋ねてきたから、私も小さい声で返事をする。


「だから違うの。ユーレイが出そうで怖くて。うちの家、あちこち修理しなくちゃいけないところがあるから、隙間風が」


必死で弁解してみたけど、晶ちゃんは顎に手をあててにやっと笑う。


「なるほどー、紫音さんも大変だったろうね。
理性と欲望の間でさぞきつかったろうなー」


「ちょ、ちょっと晶ちゃんったら」


「でもさすが優秀な執事ね、理性で欲望を捩じ伏せたんだわ」


もはや意味不明なことを言っているよ、晶ちゃん。


「そ、そうなのかな。
どっちかというと怒ってたみたいだったけど」
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