溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
そう、あの時の紫音はいつもの穏やかで余裕ある執事とは違っていた。


それもこれも全部私が悪いんだよね。


ぐっすり寝ていたところに勝手に私がベッドに入ってきたからきっと不快だったんだ。


いくら専属執事といってもプライベートな時間や空間も必要。


それを邪魔してしまったんだから。


怒らせてしまったに違いない。


「え?怒らせたって、そんなことないでしょ。
さっきここに若葉を送ってきた時もいつも通り優しかったじゃん」


「う、うーん、でも」


朝の準備をする時もバイクの後ろに乗せてくれた時もいつも通りの綺麗な笑顔で対応してくれた彼。


だけど、私は恥ずかしくて時々目を逸らしてしまったしあまりうまく話せなかった。


あの時、ちゃんとごめんねって謝ることができたらよかったんだけどな。


『次、俺のベッドに入ってきたら問答無用で襲います。もう二度としないでください』


襲います。
襲います。
襲います。
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