溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「じゃあ、名前を言いなさいよ」


「そ、それは……」


晶ちゃんに詰め寄られてタジタジになってしまう執事さん。


え?相手って男子なの?
てっきり女の子かなって思い込んでたよ。


紫音のことで、誰かに何か言われるのかもって。


たとえば、執事を譲ってください、とかお願いされてしまうとか。


もし、そうだったら丁重にお断りするしかないんだけど。


私自身に男子が用があるなんて一体どういうことなんだろ。


つい先日、3人の御曹司に絡まれたことを思い出して、急に怖くなってきた。


ふと、見ればいつのまにかその執事さんはいなくなっていた。


どうやら晶ちゃんに追い払われて退散してしまったようだ。


「ありがとう、晶ちゃん」


とりあえず助かったみたいでほっと胸をなでおろす。


「紫音さんがいたらもっと痛い目を見てたわよ、さっきの人」


「う、うん」
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