溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「紫音こそ、声どうしたの?」


「あー、そうですか?変ですか?」


ニコっと笑いながら喉に手をやる彼。


今朝は気がつかなかったけど、随分枯れた声。


「昨夜、カラオケで歌わされたからかな、ははは」


「カラオケ?昨夜はバイトでしょ?」


「ああ、そうですね……」


彼は一瞬ためらったように、口ごもる。


「え?」


「あ、いやいやそうじゃなくて。バイト終わりに仲間とカラオケに行ってたんです」 


「そ、そうなの?だから昨日はあんなに遅かったんだ」


「そうなんです。すいません、遊んでて。ついつい楽しくて」


「……そっか」


昨夜帰りが遅くて心配していたけど、バイト帰りに遊びに行ってたのか。


でも、そうだよね。彼にだって息抜きは必要だし。
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