溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
あれ、気のせいかな顔が少し熱い気がする。


それに、目の下にうっすらと浮かぶクマ。


なんだか紫音、やつれたような気がする。もしかしたら疲れてる?


「紫音、顔熱いかも。熱があるんじゃない?」。


「いやいや、そんなんじゃありません。俺はお嬢様と違って体力がありますし
お嬢様の顔を見れば疲れなんて吹っ飛んで、力が湧いてきますから」


心配になって尋ねても、彼は軽い調子で否定する。


「でも、顔が赤い」


今度は両手で彼の顔を包み込むように触れた。


「ああ、お嬢様があんまり可愛いから頭に血が昇ったのかもしれないな。恥ずかしいからあんまり触れないでください」


冗談か本気かどっちかわからないような口調。


「えっ、あっ、うん」


慌てて手を離す。


恥ずかしいだなんて、彼の口から出たのは初めてかも。


そんなこと言われたら私だって……。


冷静に考えると、この態勢って密着度が凄い。


「お、おろしてっ紫音」


せめてもの抵抗にジタバタと足を動かしても、彼はびくともしない。


「もう少しだけ」


「……」


「充電させてください」
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