溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「これにしょう」


ハア、よかった。これなら他に比べたらそんなに高くないし。


ようやく注文を決めて、カフェテリアに足を踏み入れた。


ゆったりとしたソファにお洒落でカラフルな丸テーブル、生徒たちは友人や執事と一緒に楽しそうに食事をとっている。


あちこちからビーフシチューのいい匂いがして食欲をそそられる。


そっか、今日のAランチは私の好きなビーフシチューなんだ。


お肉たっぷりで美味しいんだよね。


ハッ、でもダメだ。今日はやめとこう。


「節約、節約……」


呪文のように唱えながら、1番奥の注文受付場に足を向けた。


ズラリと並ぶ執事たちの行列。


私もそっと列の最後尾に並んでいたら、後ろから声をかけられた。


「如月若葉お嬢様」


「あ、はい」


振り返ると、ついこの間私の教室にきたあの気弱そうな執事さんが立っていた。

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