溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
肩を落としていたら、お腹から大きな音が鳴った。


グーキュルル


「ひやっ」


慌ててお腹を押さえて、すみませんって謝った。


ああ、死ぬほど恥ずかしい。


「いえ、なんのことでしょう?」


沢田さんは優しくそう言ってにっこり笑顔。


「あ、えと」


もしかしたら、彼はお腹の音を聞こえなかったふりをしてくれてるのかな。


そうだとしたら、さすがは執事。私に恥をかかせないように配慮してくれてる?


「謝るのは私のほうです。お嬢様。是非ごちそうさせてください。この通りお願いします」


うやうやしく頭を下げられたので、恐縮してしまう。


「そ、そんな」


「ささ、あちらの席へまいりましょう」


そして、背中を押されて強引にその列から離脱させられ。

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