溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
やっぱりVIPルームは特別な場所なんだな、今の私なんかにはちょっと似つかわしくない気がするけど。


たぶん、もう2度とご縁のない場所。


そんなことをぼんやりと考えていると、天堂さんがこちらをじっと見つめていることにようやく気が付いた。


あんまり美味しくてパクパク食べていたからちょっと恥ずかしい。


目を逸らせて手を止めたら、彼は優しくこう言った。


「ああ、そのまま食べながらでいいから聞いてもらえるかな?」


「は、はい」


「実は君のことが前々から気になっていたんだ」


「……」


彼の言っている意味が分からなくておもわず目を丸くする。


「君の家の事情を聞いて僕に何かできないかなって思ってね」


「……」


ああ、そうか。私の家の没落ぶりは生徒会にまで伝わっているんだ。


だからわざわざ、生徒会長自ら話しかけてくれてる……っていう解釈でいいのかな。

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