溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「あ、ありがとうございます。ご心配していただいて」


そっか、だから可哀想に思ってランチを奢ってくれてるんだ。


生徒会長ってこんなことにまで気を回してくれるものなのか。


「あ、僕の言ってる意味、全然伝わってないね?」


彼は困ったように目を細め、首をかしげる。


そのちょっとしたしぐさが女の私よりも優雅で品がある。


「光弦さま、それでは遠回しすぎますよ。もっとはっきりおっしゃらないと」


すると横から執事の沢田さんが声をかけてきた。


「そうだね、沢田。でもこういうのはちょっと苦手なんだ」


「よろしければ、私が代わりに若葉お嬢様に申しあげましょうか?」


「ああ、頼むよ。沢田」


二人が会話している間にロールパンにバターを塗ってほおばっていた私。


よくわからないけれど、早く食べてお礼を言って教室へ帰ろうと思っていた。
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