溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
さっきから気になっていたけど、天堂さんは紫音のことが気に食わないみたいだから。


でも、そんな挑発に乗ったらダメだよ。


「紫音、やめ……」


「やめてください、紫音君。坊ちゃんを離してください」


その時、今までこの地獄のような状況を黙って見ていた沢田さんが彼らの間に割って入った。


彼ら二人を引き離すと天堂さんの前に庇うように立ち、両手を広げて立ちはだかる。


おとなしい印象の彼だけど、天堂さんを守るためなら紫音相手にでも譲らない気迫が見えた。


「沢田、おまえ……」


「君の許可を取らずにお嬢様に話しかけたことは謝る。
だけど、ここは光弦様と若葉お嬢様の神聖なお見合いの席だ。
邪魔をした君にも非がないとは言えないよ」


「見合い……だと」


紫音は愕然としてその場に固まってしまう。


え？あれ、お見合いって確かさっきも言ってたような。


冗談かと思って本気にはしていなかったのに。


でもこの時の私にはそれはたいして重要じゃない。


とにかく、この状況をなんとか収めないとってそればかり考えていた。


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