溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「どうしたの?若葉。
この世の終わりみたいな顔をしてるけど」


「……」


「おーい、若葉、若葉ったら」


肩をゆすられて、ハッと我に帰ると晶ちゃんの怪訝そうな瞳にぶつかる。


「あ、うん。平気、なんでもない」


「なんでもないって顔じゃなかったよ。それに、また生徒会長から花束を貰ってきたの?」


「うん」


その時にはもう貰った花束のことを、すっかり忘れていた。


「そっか、だから沈んじゃってるんだ」


晶ちゃんはなぜかうんうんと納得したように頷いている。


「いま花束は別にどうでもよくて」


「どうでもよく無いってば、だってそれ薔薇でしょ?2回目の薔薇の花束。
うわっ、もうリーチじゃん」


晶ちゃんは興奮したように大きな声をあげる。


「え、なにがリーチ?」


「だからっ、この学園の風習だよ。儀式みたいなものかな」


「儀式?花束が?」

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