溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
晶ちゃんがチラッと薫さんを見て口ごもる。


「ご自分の執事から直接、聞いた方がいいです」


薫さんは諭すようにそう言ってきたけど、なんだか胸騒ぎがする。


私だけが何も知らない状況なのも凄く嫌だ。


「後で紫音にも尋ねてみます。
でもとりあえずこの花束の意味を教えて下さい」


「……」


薫さんは黙ったまま首を横に振る。


どうあっても、教えてもらえなさそう。


諦めかけていたら、晶ちゃんがサッと私に近づき耳元で囁いた。


「花束には特別な意味があってね、それは」


薫さんはその様子を不満げに見ていたけど、諦めて教室から出ていってしまった。

「1、2回目の薔薇の花束を執事がお嬢様に渡したら、3回目は本人が直接花束を渡しに来て愛を告白するの。
これが、正式なプロポーズの儀式らしいよ」


「ええっ」
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