溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
でもこのまま知らないふりなんてしていいわけない。


とりあえず、沢田さんが教えてくれたことを優先的に確認しないと。


優先順位を決めて、おずおずと口を開く。


「紫音、今日どうだった?」


「と、いいますと?」


質問の意味がわからないのかまばたきをする彼。


唐突すぎたかな……。


「あ、あの授業とかちゃんと理解できたかなって」


「はあ」


「紫音は頭いいから理解できるに決まってるよね。
えと、そうじゃなくて」


「……」


「私が言いたいのは……」


うまく会話を進められなくて焦って顔が熱くなってきた。


周りくどい言い方じゃダメだ。


「ねえ、紫音」


「はい、お嬢様」


「いつも自分の教室で授業をちゃんと受けてる?」
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