溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
紫音は口には出さないけど疲れているに違いないもん。


「1人で抱え込まないで。私にも頼ってね。
あ、そっか、私が頼りないから紫音が大変になっちゃうんだよね」


「お嬢様」


「私に出来ることならなんでもするよ。
そうだ、後で肩を揉んであげるね。
私、上手なんだよ」


「いえ、そんなことまでしなくていいです」


「紫音」


「そのお気持ちだけで充分です。はい、終わりました」


「え、はやっ」


見ればお皿は全部洗い終わっていた。


彼が早いのか私がトロすぎるのか。


たぶん、後者。


「お嬢様の部屋に戻りましょう。ここは寒いですから」


「う、うん。待ってこのフライパンを片付けてから」


そう言って高い位置にある棚を開けるために踏み台に上がる。


踏み台に乗ってつま先立ちで手を精一杯、頭上に伸ばす。


「ととっ……」

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