溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
彼に嫌な態度をとってしまうほど、怒ってバカみたい。


どうして、こんなに腹が立つんだろう。


どうして、こんなに悲しくて惨めな気持ちになるの?


彼が追いかけてきてくれないのも悲しい。


さっきのは事故なんかじゃなくてキスだって、認めてくれるだけで良かったのに。


「紫音の意地悪」


1人呟くとますますむなしかった。


結局、花束のプロポーズの件を詳しく聞けずじまいだったな。


だけど、その夜はさっきのキスのことばかり思いだしてしまい天堂さんのことを考える余裕なんて全然なかったんだ。


紫音、怒ってるかな?明日、ちゃんと謝ろう……。


でも、平気なフリをしてうまく立ち回れる自信が全くなかったんだ。
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