溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
確かめようとして、お布団を少しだけ持ち上げると彼はちゃんとベッドの横で立ち尽くしている。


握りしめた彼の拳はかすかに震えているように見えた。


何かに耐えるように強く強く握りしめていて。


急いでまた布団をもとに戻して隠れる。


どうして何も答えてくれないの?


すぐそばにいるのに、彼の考えてることがわからない。


まるで、遠くにいるみたい。


紫音、こんなの寂しいよ。


私達、これまで2人きりで一緒に頑張ってきたのに。


私はなんにもわかっていなかった。


紫音が私のことをどう思ってくれてるかなんて。


これまでは気にしなくてもよかったの。


だけど今、天堂さんに正式にプロポーズされるのかもしれないと思ったら。


なんだかとても知りたくなってしまった。


今、どうしても知っておかなきゃいけない気がした。

< 224 / 341 >

この作品をシェア

pagetop