溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「さあ、まだ婚約に関する正式な返答は無いらしいけど。
側近達は大喜びだって聞いてるからお父上の方も時間の問題だろう。
会社の資金繰りがいよいよ危ないらしいから」


「危ないって、そんな……」


お父様からはなんの連絡もなかったけれど、私には直接言いにくかったのかもしれない。


そう思うと、お父様のお辛い立場が伝わってくる。


天堂家と姻戚関係を築くことで如月家が息を吹きかえすなら、こんなにありがたい話はないんだ。


お父様やお母様のことを思えば、断ることなんて出来ないよ。


確かに彼の言うように、如月家に拒絶権は無い。


「この結婚で如月家を没落から救える。きっといい親孝行になるさ」


「わかり、、、ました」


おずおずと花束を受け取ると、無意識に俯いた。


頭では理解できても心は思い通りにいかない。


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