溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
たとえ執事としてだって構わない。
紫音はずっとそばに……。


「はあ、何をぼんやりしてるんだい?
また執事のことでも考えてるんだろ」


呆れるような天堂さんの声が降ってきた。


「え、えっと、違います」


「言っておくけど、この結婚にはひとつだけ条件がある」


「え、条件って」


急に胸騒ぎがしてドクドクと心拍があがる。


「条件が何も無いと思っていたの?
君にだって覚悟が必要だ」


「え、あの」


「ーーーー」


「ーーーー」


天堂さんがその時、告げた結婚の条件に私の心は粉々に引き裂かれた。


「わかったかい?じゃあ僕はこれで失礼するよ」


「ま、待って」


慌てて彼を止めようとしたけど。


「話は以上だ、この条件が呑めないなら結婚は白紙だ」


苛立ったようにそう告げて、早足ででていこうとする。まるで取り付くしまもない。


「待ってください、お願い」


「よく考えて」
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