溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
彼女に何か一言でも心のこもった気持ちを残したかったけど、決心が鈍りそうだからやめた。


これからの生活のことは細かく書き留めておいた、必要なことはそれを見てもらったらいい。


すべての準備が終わると、お嬢様の部屋にそっと入っていった。


部屋の中は薄暗く、ベッドの近くのランプがうっすらと光っている。


彼女はよく寝ていたけど可愛らしい寝顔には涙の跡があり痛々しい。


「……っ」


ああ、やっぱり顔を見ないで出ていけばよかった。


離れたくなくなってしまいそうで辛い。


本当はこのままずっと彼女のそばにいたい。


たとえ、彼女が他の男のもとに嫁いだとしても、その幸せを見届けたかった。


苦しくても、その時が俺の執事としての終着点だと思っていた。


俺の可愛いお嬢様、キミには光り輝く未来が相応しい。


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