溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
2人の間を縫って早足で歩きだしたけどまだしつこくついてくる。


もう、本当に迷惑で仕方ないけどこれ以上この人達とは口も聞きたくない。


そう思った次の瞬間、ガツンと音がしたから振り返った。


するとさっきの男子達が2人とも膝を曲げて背中をおさえている。


「いってー、何すんだよっ」


「……」


彼の後ろには大きめの脚立を片手で軽々と抱えているグレーの作業服姿の男性。


昨日、カフェテリアの階段で会った時と同じように顔にはマスクとサングラスを着けていて帽子までかぶっているから表情が全然わからない。


しかも相変わらず、無言。


こ、怖い、怪しさ満点。


私から顔を逸らしながら、邪魔そうに向こうへ行けと手をひらひらさせる。


「は、はい、すみませんっ」


叱られたような気がして、走って逃げだした。


「お、おい、ちょっと待てよ」
「如月さん、写真だけでも」

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