溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
生徒会の2人が叫ぶけど、すぐにうめき声に変わる。


振り返ると作業服姿の男性は彼らの行手を拒むように脚立を横にして壁をつくっている。


そのせいで生徒会の2人はこっちに追いかけてこれないみたい。


「おまえ何すんだよ、どけよっ。逃げられるだろ」


「……」


2人は脚立と格闘してるけど、完全に押さえ込まれている。


おかげで助かったけど、あの作業服の人いったい何がやりたいんだろ。


もしかしてこの学園の用務員さんなのかな?


あそこで作業をするつもりだったのに私たちが邪魔をしてしまっていたんだろうか。


とにかく、逃げきれたし良かった。


はー、でもびっくりしてまだ心臓がバクバクしてるよ。


あの生徒会の人達といい、不良っぽい用務員さんといい学園にはこんなに危険が潜んでいたのか。


もしもこんな時、紫音がいてくれたらきっと……。


ああ、またついつい彼のことを考えちゃうよ。

< 273 / 341 >

この作品をシェア

pagetop