溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「もう少し落ちついて話し合おう。君はいま感情的になってるんだ。
それに、そんなに頭の悪い子じゃないはずだ」


天堂さんは、優しく諭すように言う。


「僕と一緒にいれば悪いようにはしないから」


ずっとこんな調子で、本気で取り合ってもらえない。


意を決して深く頭を下げた。


「突然、勝手なことを言ってるのは分かっています。でも私は本気です。
本当にごめんなさい」


しばらくしてから顔を上げたけど天堂さんは立ち去ってしまっていた。


「あ」


今日も、彼に納得してもらえなかったな。  


許してもらえないかもしれないけど、私には誠心誠意謝ることしか出来ない。


少なからず、天堂さんには迷惑をかけてしまうことになるから、納得するまで何回でも話し合おうと思っていた。


私がもっとしっかりしていれば、こんなことにはならなかったのに。
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