溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「でも、賞品だけが目的じゃないから。お願い、私の好きなようにやらせて」


「ですが……」


薫さんは、まだ何か言いたそうにしていたけど、結局最後には諦めてくれた。


私は誰に何を言われようと、今日の執事ドッジ大会に絶対に出るって決めていたんだ。


たとえ、1人でも。


優勝してハワイ旅行券を貰いたい。


そして、ハワイに行き両親に会ってお願いしたいことがある。


そして、もうひとつの目的は。


私が1人でも頑張っているところをある人に見てもらいたい。


たとえ、今日ここにいなくても風の噂で伝わってくれるだけでいい。


そう願いながら、この日のために覚悟を決めてきたんだ。


「よ、よーし、頑張るぞ」


大きな声で気合いをいれてパチンと両手で頬を打つ。


強く打ちすぎてヒリヒリしたけど、戦闘態勢はバッチリ。



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