溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
「如月さん?あなた1人で出る気?専属執事はきてないの?」


一回戦の執事ドッジボールの試合が始まるコートに1人で走っていくと審判の若い女性の先生から変な目で見られた。


この人は確か執事科の先生だ。


「私、1人じゃありません」


「へ?」


「私のそばにちゃんといますから」


「は?えっと、でもぅ……」


私の周りをキョロキョロ見まわしながら困惑している様子。


それもそうだ、実際私は1人だしいくら説明しようとしてもうまく伝えられる自信がない。


「ごめんなさい、先生。1人だけどどうしても出たいです、出させてください」


だから、こんな風にシンプルにお願いした方が早いと思った。


「え、まあ、仕方ないですね。辛くなったらすぐに棄権してね」


「はい、わかりました」


どうせ、すぐにアウトになって離脱するだろうと思われたのかあっさりオッケーしてもらえた。

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