溺愛執事は貧乏お嬢様を守り抜く
ズキズキと響くような痛みが増していく。


先生は私を覗きこんで、説得を試みようとした。


「あなた、もう棄権しなさい。保健室にいきましょう」


「いえ、まだやれますから」


「ダメよ、足元がふらついてる」


「やりますっ」


「執事もいないのにここまでよくがんばったわ。もう諦めなさい」


私が首を横に振ると、先生は眉をひそめため息をついた。


私の執事はちゃんといる。


離れていても、気持ちはひとつだって。


ちゃんと彼は私を想ってくれているってわかるから。


だから、まだこんな中途半端なところで終わりたくない。


「お願いします、諦めたくないんです」


先生たちは顔を見合わせて少し相談をしてから、またこちらに向き直る。


「仕方がないわね、少し様子を見て無理そうならすぐに退場させますからね」


「は、はい。ありがとうございます」

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